個人間融資 転職回数12回の男が教える会議術
人を動かし、人を育てる会議術
ぼくがリクルートに再度入社したのは、リクルートが新卒中心の純粋培養の文化から、ネットに対応するために中途の即戦力を大量に採用し始めた頃でした。ぼく自身も、マネジャーとして人をどうやって動かすか、組織の力をどう引き出すかという問題に直面していた時期で、当時の経験は大きな財産になっています。
ここでは、そのときの試行錯誤をベースに、他の職場での経験も加えて完成させた、ぼくなりの会議のノウハウをご紹介します。会議は、うまくやれば組織の実行力を高めることもできるし、人材育成の場としても機能する、このうえなく貴重な場なのです。
当時は、求人事業以外のリクルートの全事業のインターネットマーケティングを担当させていただいていたので、全部で80人くらいのメンバーが参加してマーケティングノウハウを集約する会議を実施していました。
非常に重要な場なので、どうすれば質を上げられるか、また効率よく運営できるのかをみんなで考えた結果、事務局のメンバーだけを集めて、「事前会議」と「振り返り会議」という2つのミーティングも併用するスタイルになりました。つまり、本番の会議をうまくやるために、前後に2つの会議をやって、3つ1セットで回していたわけです。
たとえば、本番の会議後の「振り返り会議」で、「今日、こういう議題が出たけど、次はこんなことを仕掛けたほうがいいよね」「こうしたほうがよかったよね」といったことをまとめておきます。そして次の本番の前の「事前会議」で、「前回決めておいた仕込みはできた?」「ここまでは今回取り上げて、ここからは次回に持ち越そう」といったことを確認するのです。
それぞれ10分もかからないミーティングでしたが、これをやるのとやらないのとでは、本番の進行具合が全然違ってきます。
また、本番の会議の最後に、参加したメンバー全員に感想を述べてもらうチェックアウトの時間を設けていました(途中から、レポートでの振り返りと宣言をメールで共有しあう形に変わっていきました)。「今日の会議でいちばんよかったこと」と「それを次にどう生かすか」をその場で全員に宣言させるわけです。なおかつ、その宣言のあとに、「どうすればもっと会議はよくなると思いますか?」と聞いて、改善案を出してもらいます。
この目的は、メンバーが会議を「自分事化」していくことにありました。いちばんよくないのは、事務局に任せきりで、受け身で会議に顔だけ出すようになってしまうことです。それではせっかくのミーティングが有効活用できません。
会議やミーティングの目的は情報共有と意思決定といわれています。しかし、いちばん大事なのは、意思決定したことに対して、メンバーの「わたしがやります」というコミットメントを取ることです。
みんなの前で「やります」と宣言してもらったら、それをみんなで「すごい!」とほめて拍手したり、場合によっては記念撮影をしたこともありました。こうすることで、お互いに逃げられないようにするのです。そのうえで、期限までにやっていなかったら逐次確認します。それによって、会議がただの顔合わせの場ではなく、組織の実行力を高める場として機能するようになるのです。
次に続く。